けん玉オヤジじゃ。
前回は窒素の植物体内での主な働きを詳しく学んだが、今回はリン酸について学んでいくぞい。

関連記事:肥料の働きを学ぶ②

リン酸とは何か?

リン酸は植物細胞中の核酸などの構成成分。花を咲かせ、実をならせるのに必要なため、一般に花肥(はなごえ)や実肥(みごえ)と呼ばれておる。

作物の生育に盛んな若い組織に多く含まれており、新しい細胞を作るために必要なものじゃ。
さらに、根の発達にも大きく影響しており、分げつ等に必要な養分であることから作物の生育初期に多く必要とされておる。

リン酸は単体で土壌に保持されることは殆どなく、多くは土壌中の石灰やアルミニウム、鉄と結合した形態となる。
この中でカルシウムと結合したリン酸は作物に利用されやすいが、アルミニウムや鉄と結合したリン酸は非常に溶けにくく作物に利用されにくいんじゃ。

リン酸を施肥した場合の作物への利用効率は土壌の種類によって異なる。最も多くリン酸を固定するのは活性アルミニウムを多く含む火山灰を母材とした黒ボク土じゃ。

土壌PHが低い場合、リン酸はアルミニウム、鉄と結合する量が多くなり、逆にPH7.0以上と高いと石灰と結合し難溶性化合物になる。土壌PHが5.5~6.5のときリン酸の溶出が最も多いとされておる。
また、地温によっても養分吸収がかなり左右され、窒素、カリウムと比較しても低温ではさらに吸収されにくくなるんじゃ。

こうしたことから温度の低い地域や、温度の低い時期の作型ではリン酸を多めに施用する例が多いようじゃ。

リン酸と作物生育との関係

①作物の生育、収量が最大となるリン酸含量がある

リン酸施用に対する反応は野菜の種類によってかなり異なる。リン酸施用効果の高い野菜としてはタマネギ、レタスなどがあり、低い野菜としてはコマツナ、ダイコンなどがある。
レタスは有効態リン酸含量100mg/100gあたりで最高収量となり、それ以上では生育が旺盛で結球不足となり減収するんじゃ。

※1.有効態リン酸⇒土壌中の作物に利用可能なリン酸形態のもの
 2.●●mg/100g⇒乾土100gあたりリン酸が何ミリグラムか

大根は有効態リン酸含量が10~100mg/100gでは大きな差はないが、 100mg/100g 以上になると減収してくる。
一方、水稲では有効態リン酸含量が 20mg/100g くらいまでは収量増加が大きいが、リン酸含量がそれより多くなっても増収しないんじゃ。

②リン酸過剰により生育に障害が起きることがある

リン酸の過剰障害は発生しにくとされておるが、 極端な過剰では草丈が伸びず、生育不良となる。
また、カリウムやマグネシウム等の含量が低下したり、亜鉛、鉄などの吸収が抑制されたりするぞい。

リン酸施肥改善

リン酸が不足する場合にリン酸質肥料を施肥する必要があるが、リン酸は土壌への吸着性が高く、どの程度の量を施肥するかが問題になるんじゃ。
リン酸の施用量は土壌条件によって異なり、リン酸吸収係数の高い土壌は多めに施用する必要がある。

※リン酸吸収係数⇒ リン酸を吸着固定してしまう土壌の力をリン酸吸収係数としてあらわす。

日本の耕地のリン酸吸収係数の平均は約七〇〇だが、日本の畑地に多く分布する火山灰土は二〇〇〇以上のリン酸吸収係数を示す。昔から農家のあいだで、肥料ばかりくって、作物のできない土と嫌われたゆえんである。逆に砂土では三〇〇くらいしかなく、ややもするとたいへんなリン酸過剰の作土にしてしまうことも少なくない。

農業ビジネス 【自分の畑は自分で診断する】より

また、土壌中のリン酸含量を低下させるには、硝酸態窒素やカリウムと違ってリン酸は流亡しにくいことから、施肥量を減らすことが基本となるぞい。

家庭菜園では、化学肥料に頼らず有機質肥料をできるだけ使いたいという者も多いと思うが、動物性の有機質肥料(鶏糞、牛糞、もしくはそれらを使用した堆肥)はリン酸の含有量が多い。
リン酸は流亡しにくいと書いたが、動物性の有機質肥料を使い続けることでリン酸は土中に蓄積されることになる。毎年同じ肥料ばかり使わず、リン酸の少ない肥料(油粕など)を使ったり化成肥料と組み合わせたりして施肥するのが良いじゃろう。

次回は肥料の3要素の3つ目、カリウムについて学んでいこうかの。

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